日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スタッブズ(William Stubbs)
すたっぶず
William Stubbs
(1825―1901)
イギリスの歴史家。オックスフォード大学教授として中世国制史の体系的研究を創始したことで知られる。父は弁護士で、彼は研究者の道を進むとともに聖職者となり、司祭に叙せられたあと、チェスターとオックスフォードの司教を歴任した。主著『イギリス国制史の起源と発展』三巻のほか、「中世史料集」Rolls Series95巻253冊のうち、九巻19冊を担当した。これまで文学の一分野にとどまっていたイギリスの歴史学が近代的研究法に基づく学問に転換したのは、スタッブズの功績であるといわれる。もっとも、その歴史観は19世紀の自由主義を基調とし、現代では批判と修正を免れないが、いまなお彼の研究は価値を失っていない。
[松垣 裕]