日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スティール(Clyfford Still)
すてぃーる
Clyfford Still
(1904―1980)
アメリカの抽象表現主義、カラー・フィールド・ペインティングの画家。ノース・ダコタ州グランディンに生まれ、ニューヨークに没す。スポケーン大学、ワシントン州立大学大学院に学ぶ。1930年代まではヨーロッパの近・現代美術の諸傾向の影響を受けていたが、アメリカ西部の広大な風物を抽象化する絵画を描くにつれて自己の作風の確立に向かう。40年代の中ごろから大画面に厚塗りで不定形の色面と線を配した作品を制作。それはポロック、ニューマン、ロスコと共通する過去の造形を超えた空間を構築し、自然と感情を抽象的に表す内容を有している。代表作に『絵画』(1951・ニューヨーク近代美術館)がある。
[藤枝晃雄]