射出成形(読み)しゃしゅつせいけい(英語表記)injection molding

精選版 日本国語大辞典 「射出成形」の意味・読み・例文・類語

しゃしゅつ‐せいけい【射出成形】

〘名〙 熱可塑性プラスチック成形する方式一つ。プラスチックを加熱流動化しておき、これをプランジャーで冷たい金型内に射出し成形品とする方法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「射出成形」の意味・わかりやすい解説

射出成形
しゃしゅつせいけい
injection molding

プラスチック成形材料をシリンダー中で加熱して軟らかくし、これを冷たい金型に速やかに押し込んで成形する方法で、通常は熱可塑性樹脂の成形に多く利用されている。成形材料はプラスチックに顔料(がんりょう)や安定剤を粘り込んで切断してつくった粒状のもの(チップという)が用いられ、プランジャーが後退したとき、チップがホッパーから自動的にシリンダー中に供給され、加熱されて流動状態となる。トーピードは邪魔板(じゃまいた)のようなもので、この部分では成形材料が細い通路を通ることで均等に加熱される。ノズルから閉じた金型中に圧入される。金型には冷却水を循環させて適当な温度に保っておく。圧入が終了し成形物が冷却固化したのち、可動盤が後退して金型が開かれると、装置が働いて成形物が取り出される。これらの操作は自動的あるいは半自動的に行われるので能率よく成形物を得ることができる。櫛(くし)、洗面器のような小型の日用品から、ビールコンテナなどの大型のものまで成形でき、射出速度も大きく、またプラスチックの成形ロスも少ない。

垣内 弘]


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化学辞典 第2版 「射出成形」の解説

射出成形
シャシュツセイケイ
injection molding

樹脂を加熱融解し,流動状態にして,製品形状を彫り込んだ空孔をもつ金型に射出注入し,所定時間後,冷却固化させて成形品を作成する方法.おもに熱可塑性樹脂成形加工に用いられる.複雑な形状をした製品でも精度よく1工程で,短時間に連続的に製造できる特長がある.さらに,小さな精密部品や,大きな部品(自動車バンパー,車体など)などの製造もでき,生産の自動化が可能である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「射出成形」の意味・わかりやすい解説

射出成形
しゃしゅつせいけい
injection molding

プラスチックの成形加工法の一つ。成形材料をシリンダ内部で加熱し溶融させてから,プランジャあるいはスクリューを使ってあらかじめ冷却した金型の中に射出して成形する。繰返して行い,大量生産できるので,作業能率は高い。当初は熱可塑性樹脂の成形に限られていたが,現在は熱硬化性樹脂の成形にも用いられている。各種容器,日用雑貨などの成形に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の射出成形の言及

【プラスチック成形加工】より

…成形材料を材料室に入れて加熱,流動性をもたせ,プランジャーで密閉金型中に押し出し金型内で硬化させ,冷却後取り出す(図2)。(3)射出成形injection molding おもに熱可塑性樹脂に適用される。生産性が高いので,熱硬化性樹脂にまで最近では適用範囲が広がっている。…

※「射出成形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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