日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スボボダ(Josef Svoboda)
すぼぼだ
Josef Svoboda
(1920―2002)
チェコの舞台照明家、舞台美術家。ボヘミア地方の家具職人の家に生まれる。1951年産業美術大学卒業。照明、建築技師の資格をもちプラハの国立劇場の主任デザイナー、技術監督となる。チェコ・アバンギャルド演劇の伝統を踏まえた、オペラ、バレエ、ドラマの各ジャンルの舞台空間の処理は、作品への創造的解読力の卓抜さにより、世界の驚異となる。照明、構造、機械学、数学、光学の機能を駆使し、58年のブリュッセル万国博覧会の「ラテルナ・マギカ(映像と演技者の共演)」、67年のモントリオール万国博覧会の「ディア・ポリエクラン」方式では話題をよぶ。舞台美術にセノグラフィーscenographyの用語を新造し、全上演空間の処理を強調した。劇場芸術国際組織(OISTAT)の事務局長を務めたこともある。1973年にはプラハのラテルナ・マギカ劇場の芸術監督に就任した。
[村井志摩子]