セイシボク(読み)せいしぼく

改訂新版 世界大百科事典 「セイシボク」の意味・わかりやすい解説

セイシボク (青紫木)
Excoecaria cochinchinensis Lour.

トウダイグサ科低木。高さは2mに達し,細い小枝を多数出し,こんもり茂る。葉は卵状披針形で先がとがり,葉の表は光沢ある緑色,裏は鮮やかな紫紅色で,その対照が美しい。花は小さく目だたない。古くから知られる観葉植物で,冬は10℃以上で管理する。夏の間は日焼けを防ぐため,日陰に置くのがよい。排水のよい肥えた土に植え,繁殖は6~7月に枝先を長さ5~10cmに切って挿す。

 セイシボク属Excoecariaは旧世界熱帯域に約25種ある。植物体を切ると傷口から白色乳液を出し,これは有毒である。シマシラキE.agallocha L.は,インドからポリネシア方面に生育するほか,沖縄および奄美大島にも自生する常緑の小高木。葉は楕円形の光沢ある緑色。材はジンコウ(沈香)のような香気があり,沖縄・奄美方面では古くからキナンコウボク(奇南香木)とよんでいる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セイシボク」の意味・わかりやすい解説

セイシボク
せいしぼく / 青紫木
[学] Excoecaria cochinchinensis Lour.

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の常緑低木。温室では普通は1~2メートルであるが、熱帯では数メートルに達する。葉は対生し、倒披針(とうひしん)形で長さ8~12センチメートル、縁(へり)には浅く切れ込む鋸歯(きょし)があり、すこし波状となる。葉裏が紅紫色で美しく、観葉植物として利用できる。茎の上部葉腋(ようえき)に穂状花序をつけるが、雄花・雌花ともに観賞価値はない。ベトナム原産で、日本には明治初年に渡来した。挿木で殖やす。半日陰でよく育ち、10℃以上で越冬する。

[高林成年 2020年6月23日]

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