セラミック繊維(読み)セラミックせんい(英語表記)ceramic fibers

改訂新版 世界大百科事典 「セラミック繊維」の意味・わかりやすい解説

セラミック繊維 (セラミックせんい)
ceramic fibers

耐熱性,耐食性,耐摩耗性に優れたセラミック系物質を繊維状に形づくったもの。ガラス質を繊維化したものがガラス繊維であり,耐火断熱材として建築用に使われているし,混入することでプラスチックを強化したものがFRP強化プラスチック)である。超高純度の石英ガラスを繊維化したものが光通信用ファイバーである。ガラス以外にも繊維化できている物質にアルミナAl2O3,ジルコニアZrO2炭化ケイ素SiC,チタン酸カリウムK2O・nTiO2などがある。繊維を得る方法としては溶融紡糸が低融点物質あるいはガラス質の場合に用いられ,高融点物質の場合には有機系繊維に無機物質を水溶液と含浸させたのち焼成する方法,炭化ケイ素繊維のようにケイ素Siと炭素Cを含む有機物で繊維を作ったのち熱分解してSiCだけを残す方法,などが用いられる。これら耐熱性の繊維は,高温での断熱材あるいは金属に混入して強化するFRMfiber reinforced metalの略)用となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セラミック繊維」の意味・わかりやすい解説

セラミック繊維
セラミックせんい
ceramic fiber

広義にはセラミックスで製造された繊維で,ガラス繊維を除くすべての繊維を指す。シリカ繊維,アルミナ繊維,ムライト繊維,ジルコニア繊維,炭化ケイ素繊維など。狭義にはアルミナ-シリカ比が1の繊維を指す。長繊維と 250mm程度の短繊維があり,耐熱性,軽量性という特徴から断熱材料,宇宙航空機部材などに広く用いられ,建設材料としての研究も進められている。長さの短いひげ結晶 (ウィスカー) では炭化ケイ素が注目され,エンジニアリングセラミックスとしての複合材料開発が行なわれている。

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