日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
セリグマン(Kurt Seligman)
せりぐまん
Kurt Seligman
(1900―1961)
スイス出身で、アメリカに移住したシュルレアリスムの画家。スイスのバーゼルに生まれる。ジュネーブ、フィレンツェで美術教育を受けたのち、1932年に最初の個展を開く。初期には抽象的作風だったが、ミロとアルプの影響からシュルレアリスムの色彩を強め、特異な幻想絵画を発展させた。39年にはヨーロッパの戦火を避けてアメリカに移住し、謎(なぞ)めいた薄明のなかに渦巻き流動する帯状の布に覆われた人物を好んで描いた。中世の芸術にひかれるゴシック的想像力の持ち主で、美術評論の著作も多く、その絵画は魔術的リアリズムによる別世界の雰囲気に満たされている。
[石崎浩一郎]
『セリグマン著、平田寛訳『世界教養全集20 魔法』(1961・平凡社)』
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