センチメンタルジャーニー

デジタル大辞泉 の解説

センチメンタル‐ジャーニー

原題A Sentimental Journey through France and Italy, by Mr. Yorickスターンによる紀行小説。1768年に第1巻、第2巻を刊行。原題は「ヨリック氏による、フランスイタリアへのセンチメンタルジャーニー」の意。「ヨリック」はシェークスピア作品に登場する道化師の名にちなむ、スターンの筆名著者の死により、イタリアには到達せず終わった。

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

センチメンタル・ジャーニー
A Sentimental Journey through France and Italy

イギリスの小説家L.スターンの旅行記。1768年刊。自然,風景事実を叙述するという当時一般の旅行記とはまったく趣を異にした感情旅行記。カレー,ルーアン,パリ,ブールボネー,リヨンに至るが,表題にあるイタリアの記述がないのは作者が病没して2巻で終わったためである。作者の病気療養のための旅行(1765-66)に基づいているが,病気とか作者の行動に即してではなく,特定の事件に対する作者の情緒的反応を中心に書かれ,全体に遊びの特質前面に押し出されている。この作品によって〈センチメンタル〉(〈感情による〉の意)なる語が流行し,作品自体も諸国語に訳された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のセンチメンタルジャーニーの言及

【スターン】より

…その間《ヨリック説教集》(1760‐66)を世に出している。また《トリストラム・シャンディ》7巻によって示された大陸旅行記の好評に勢いを得て旅行記《センチメンタル・ジャーニー》(1768)を出版,センチメンタルなる語を流行させた。67年ロンドン滞在中,人妻エリザベス・ドレーパーとの恋の遊びにふけり,その感情の記録を残した。…

【センチメンタリズム】より

…18世紀の啓蒙主義に対抗して現れたルソーの立場はその典型的な例であり,悟性偏重に反抗する19世紀のドイツ・ロマン主義の活動や,実証主義の時代を経て19世紀末から20世紀にかけて現れた〈生の哲学〉に流れる基調もこれに含められる。【細井 雄介】 そもそも〈センチメンタル〉なる英語がひろく用いられるようになるきっかけは,18世紀のイギリスの作家L.スターンの《センチメンタル・ジャーニー》(1768)であった。それまでに流布していた旅行記と異なり,自然の風物や都市の景観には目もくれず,もっぱら人心のあわれ(センチメント)を描くことを主眼にしたこの作品は,18世紀前半を支配した新古典主義(ネオ・クラシシズム)の主知主義からぬけ出る姿勢を示していた。…

※「センチメンタルジャーニー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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