精選版 日本国語大辞典 「セントルシア」の意味・読み・例文・類語
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翻訳|Saint Lucia
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基本情報
正式名称=セントルシアSaint Lucia
面積=616km2
人口(2010)=17万人
首都=カストリーズCastries(日本との時差=-13時間)
主要言語=英語,パトア語
通貨=東カリブ・ドルEast Caribbean Dollar
カリブ海東方,小アンティル諸島南部のウィンドワード諸島にある単独の島国。火山島で,地形は山がちであるが,肥沃な土地に恵まれ,最高峰のモーンギミ山(950m)を中心とする放射状の河川沿いに耕地が開けている。住民は,ほとんどがアフリカ系黒人かその混血だが,インド系住民や白人も若干見られる。公用語は英語だが,実質的にフランス領であった時期が長いため,フランス語系のクレオール語が広く使われるなど,フランス領時代の文化的伝統が色濃く残っている。カトリックの信者が多いこともその一つの現れである。首都のカストリーズが最大の都市で,人口は約5万5000人である。
1502年12月13日の聖ルキアの日(国の祝日)にコロンブスが〈発見〉したといわれているが,ヨーロッパ人による〈発見〉の年代は定かではない。17世紀に入ってイギリス人,フランス人,オランダ人らが入植を試みたが,疫病と先住民カリブ族の抵抗にあい,いずれも失敗した。その後17世紀半ばにフランス人が入植に成功し,カリブ族と平和協定を結んで植民を進めた。18世紀半ばにカリブ海で砂糖生産が盛んになると,島の領有をめぐって英仏が対立するようになり,1814年のパリ条約でイギリスへの帰属が確定した。この間,英仏両国はアフリカから奴隷を移入し,彼らの子孫が今日の住民の大部分を占めている。20世紀に入ってからしだいに民主制が導入されるようになり,1958年には西インド諸島連合の結成に参加した。同連合解体後は67年に内政自治権を獲得したが,74年のカリブ共同市場加盟後,独立の要求が高まり,78年12月のイギリス議会の承認を経て,翌79年2月22日独立を達成した。イギリス連邦内の自治国で,英国女王の名代である総督が形式上統治する。議会は総督指名制の上院(11名)と選挙制の下院(17名)から成り,下院の多数党党首が内閣を組織する。東カリブ諸国機構に加盟しており,司法は東カリブ裁判機構に属する。
かつてこの島の基幹産業であったサトウキビ栽培は,現在ではバナナ栽培と観光業によってとって代わられている。このうち,バナナの他にマンゴー,ココナッツ,カカオなど輸出用作物を中心とする農業部門は,国内総生産の14%,就業人口の40%を占めている。その中でも最も重要なのは輸出の約6割に及ぶバナナであるが,ハリケーンなど天候に左右される弱点があるほか,主要輸出先のEUが優遇措置の撤廃を検討するなど不確定要素が多いため,産業の多角化が急務である。工業は農産加工が主体だが,外資による輸出向け軽工業が伸びている。輸入では食料と工業製品が多く,貿易は恒常的な赤字で,外国借款や観光収入で補っている。輸出ではイギリス,輸入ではアメリカが最大の相手国である。1995年の1人当り国民総生産は3370ドル。
執筆者:橋本 芳雄+志柿 光浩
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