ゼラフシャン川(読み)ゼラフシャンがわ(英語表記)reka Zeravshan

改訂新版 世界大百科事典 「ゼラフシャン川」の意味・わかりやすい解説

ゼラフシャン[川]
Zeravshan

中央アジア,タジキスタン共和国とウズベキスタン共和国にまたがる川。ウズベキスタン語でザラフションZaravshon。長さ877km,流域面積1万7700km2。タジキスタン領内のイグラ峰(5301m)にかかるゼラフシャン氷河に発し,断層線谷を西流してペンジケント付近で大きな扇状地を形成して平野に出る。サマルカンド付近では分流し,さらに合流してブハラ下流カラクリ付近で砂漠中に消える。中・下流はオアシスの水路網が複雑に入り組み,カッタクルガンその他には貯水池がつくられている。流量は7月が最大で250~690m3/s。流域平野は麦,トウモロコシ綿花などの農地がひらけ,畜産もさかんである。ゼラフシャンは〈黄金を分配する者〉の意といわれ,ソグディアナと呼ばれたこの流域に古代から多くのオアシス都市を育ててきた。古代のサマルカンドでは,ゼラフシャン川の水を陶管,鉛管をつないだサイフォンにより,アフラシアブ台地上の都市に給水したという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼラフシャン川」の意味・わかりやすい解説

ゼラフシャン川
ゼラフシャンがわ
reka Zeravshan

中央アジア,タジキスタン,ウズベキスタン両国を流れる内陸河川全長 877km。流域面積4万 1860km2。タジキスタンのアライスキー山脈西端の氷河に発し,約 300kmはトゥルケスタン山脈とゼラフシャン山脈の間の渓谷を西流し,ウズベキスタンに入ったあたりで西北西に流れを変えて乾燥した低地に出る。サマルカンド,カッタクルガンを経て,ギジドゥバン付近で南西に方向を転じ,ブハラ付近を通り,クイズイルクム (キジルクム) 砂漠南部のカラクリ付近で消滅。かつてはアムダリアに流入していた。春~夏が増水期で冬には減水。この川の流域は中央アジアにおいて早くから文化の開けた地方で,ソグディアナと呼ばれた。中国史料には那密水と記されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼラフシャン川」の意味・わかりやすい解説

ゼラフシャン川
ぜらふしゃんがわ
Зеравшан/Zeravshan

ウズベキスタン共和国南部とタジキスタン共和国北部にまたがる川。パミール高原のゼラフシャン氷河より流れ出て西流し、キジルクム砂漠南部で消滅する。長さ780キロメートル、流域面積1万2300平方キロメートル。北方への灌漑(かんがい)用分水は、チャルダラ湖の西に一大塩湖アイダルクリАйдаркуль/Aydarkul'湖を形成している。流域には数多くのオアシス都市がみられ、サマルカンド、ブハラなどが有名。紀元前6世紀ごろより、アジア内陸地域の貿易拠点として物資の交流が活発に行われた。

[小宮山武治]

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