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ゼロゼロ物件 ぜろぜろぶっけん

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知恵蔵2015の解説

ゼロゼロ物件

ゼロゼロ物件とは、不動産賃貸借契約をする場合に本来必要だった敷金、礼金を不要とする賃貸物件のこと。
礼金は、賃貸物件の貸し手(大家さんなど)に借り手が入居時にお礼金として渡すもの。かつて地方から上京して一人暮らしを始める学生などの親が、大家さんに「よろしくお願いします」という意味をこめて、前もってお礼をするという意味合いがあったため、「礼金」と呼ばれるようになった。礼金の相場は賃料の1カ月分程度だといわれているが、法的根拠はなく、退去時に返還しないものとされている。ちなみに礼金は関東地方で多く取り入れられているが、地方によっては礼金を取らないところもある。
一方、敷金は法律用語で、不動産の賃貸借契約の際、家賃の滞納や物件の原状回復など賃貸契約上の債務を担保する目的で設けられている。つまり、家賃の滞納があった場合に、貸し手は退去時に敷金から未払い賃料を差し引くことができる。また、借り手の不注意や故意、過失による損壊、汚損など賃貸物件の損耗を修繕する費用として敷金から充当することができる。そのため、退去時に賃料の滞納がなく、修繕の必要な損耗などがない場合は返却されることになっている。ただ、これも地方によって異なり、関西地方以西では、あらかじめ敷金の一部を物件の修繕費に充当するよう差し引かれて返却されるケースがある。このことを敷引き(しきびき)と呼ぶ。敷金の相場は地方によって異なるが、賃料の2~3カ月だといわれている。
このように不動産を賃貸借契約する場合には、毎月の家賃以外に初期費用としてまとまった額の敷金・礼金が必要になる。ところが、昨今の不景気非正規社員の増加などで低所得者層が増え、多額の敷金・礼金が必要な賃貸物件では入居が困難な場合が多い。そこで、賃貸業界の競争激化もあいまって、敷金・礼金を不要とする「ゼロゼロ物件」が登場した。
ゼロゼロ物件は、資金に余裕のない人でも賃貸物件に入居できるものだが、さまざまなトラブルも発生している。たとえば、あらかじめ家賃が高めに設定されていたり、敷金・礼金は不要でも保証金や入会金など違う名目の資金が必要なケースもある。また、ゼロゼロ物件は、賃料を納めるという借り手の債務を担保する敷金がないため、貸し手のリスクが高くなる。そのため、賃料不払いで逃亡するのを防ぐために、1日でも賃料の納付が滞ると違約金として毎月の賃料に1日あたりの上乗せ金額を求めるケースや、強制退去を求めるケースもある。ある不動産会社のゼロゼロ物件では、貸し手と借り手に「賃貸借契約」ではなく、「鍵の一時使用」という契約を結ばせ、賃料を滞納した借り手に対して、鍵の付け替えという名目で、強制退去や荷物を処分した。このことが訴訟問題に発展している。

(金廻寿美子 ライター / 2009年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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