日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソチ(ロシア連邦)」の意味・わかりやすい解説
ソチ(ロシア連邦)
そち
Сочи/Sochi
ロシア連邦南西部、クラスノダール地方の保養都市。人口35万9300(1999)。黒海北東岸に面し、背後(北東側)はカフカス山脈の2500メートル級の山地である。冬はロシアのなかではきわめて暖かく湿度も高く、夏も過ごしやすい。平均気温は1月6℃、7月25~28℃、年降水量1400ミリメートル。ロシア屈指の保養地で、黒海に面する港(クリミアなどへ航路がある)、空港(東郊アドレル地区にあり、数十の都市と直行便で結ばれる)、鉄道(モスクワ直行列車がある)により、年間数十万の内外観光客が訪れる。市域は黒海北岸に沿って150キロメートルも延び、4区に分かれ、療養、保養、宿泊施設が緑の中に点在する。また、転地療養、物理療法などの医学研究所、泥炭浴、鉱泉浴、鉱泉水飲用などの施設も多い。鉱泉はとくにマツェスタ地区が有名。郷土博物館、N・オストロフスキー記念館、カフカス自然保護地区博物館、樹木植物園などがある。1838年、モスクワの上流階級の転地療養地として開かれ、1917年の革命後には軍や民間の保養施設が置かれ、今日の隆盛をみるようになった。第22回(2014年)冬季オリンピック開催地。
[渡辺一夫]