改訂新版 世界大百科事典 「ソニー」の意味・わかりやすい解説
ソニー[株]
日本を代表する国際的エレクトロニクス企業。前身である東京通信工業(株)が井深大(1908-97),盛田昭夫らによって設立されたのが1946年5月。同社は真空管電圧計,電磁音叉(おんさ),通信機器の試作研究・生産を行っていたが,50年7月には日本初のテープレコーダーG型を発売。また55年8月日本初のトランジスターラジオTR-55を発売。テープレコーダーとトランジスターラジオの生産は順調に進み,1950年代末までに同社の経営基盤は固まった。58年商標名(SONY)と社名を統一しソニー(株)と改めた(SONYは,ラテン語で音を意味するsonusと,かわいい坊やという意味の英語sonnyから命名)。59年6月エサキダイオード(トンネルダイオード)の試作に成功。60年2月ニューヨークにアメリカ現地法人を設立,以後海外市場への進出を本格化させ,翌61年には早くも〈SONY〉の商標を登録した国が100ヵ国を突破した。SONYブランドはHONDA(本田技研工業)とともに世界に知られることとなる。64年3月世界初の卓上型電子計算機を発表。同年11月世界初の家庭用ビデオテープレコーダー(VTR)を発表。68年4月世界初のトリニトロン方式カラーテレビを発表,大成功を収め,77年1月には累計生産台数1000万台を記録した。75年5月ベータマックス方式VTRを発表。77年9月世界初の家庭用PCM(パルス符号変調)オーディオ・ディスク・システムを発表した。
技術開発力を武器にソニーは〈ソニー神話〉といわれるほどの急成長,高収益を達成した。2004年アメリカの大手映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤーを買収するなど,映像・音響などソフト部門に力を入れている。現在の事業内容は,テレビ部門,音響機器部門,ビデオ機器部門その他部門から成る。資本金6217億円(2005年9月),売上高7兆1596億円(2005年3月期)。
執筆者:青木 良三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報