ソロー(Robert Merton Solow)(読み)そろー(英語表記)Robert Merton Solow

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ソロー(Robert Merton Solow)
そろー
Robert Merton Solow
(1924―2023)

アメリカの経済学者。ニューヨーク市ブルックリンに生まれる。ハーバード大学に入学したが、第二次世界大戦中は陸軍に所属、終戦後の1945年に復学してW・レオンチェフに経済学を学び、1947年に卒業、1949年に修士号、1951年に博士号を同大学で取得した。1950年からマサチューセッツ工科大学MIT)に勤務し、1958年教授に昇格した。1961年にジョン・ベーツ・クラーク賞を受賞、同年第35代大統領ケネディの経済諮問委員会委員、1964年に計量経済学会会長、1979年にアメリカ経済学会会長を務めた。

 ソローは、統計学と経済成長モデルを研究し、新古典学派成長論を展開した。従来の経済成長論は資本生産比率などを固定化したため、均衡成長に至るまでの経路が不安定になると主張した。彼はそれらの固定化を排し、資本と労働の間に代替性があり、一定の割合で成長していく恒常状態に達するとした新しい均衡成長論を提唱した。さらに技術進歩の重要性を主張し、技術進歩を計測的にとらえ、それを経済成長理論に取り入れた成長モデルをつくりあげた。このような生産と福祉増大をもたらす「経済成長の諸要因を理論的に分析し、新古典派成長理論の基礎的枠組みを構築」した業績に対して、1987年のノーベル経済学賞が与えられた。

 インフレーション失業をめぐるフィリップス曲線の分析でも知られている。

[金子邦彦]

『ロバート・M・ソロー著、福岡正夫訳『成長理論(第2版)』(2000・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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