タマツリスゲ(読み)たまつりすげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマツリスゲ」の意味・わかりやすい解説

タマツリスゲ
たまつりすげ / 珠釣菅
[学] Carex filipes Fr. et Sav.

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の多年草。高さ20~40センチメートルで、全体が柔らかい。葉は幅2~4ミリメートル、基部は赤紫色。雌小穂はまばらに花をつけ、長い柄があり垂れ下がる。花期は4~6月。林内や日当りのよい草地に生え、本州、四国に分布する。名は、果胞を珠(たま)に見立てたもの。近縁のコジュズスゲ(小数珠菅C. macroglossa Fr. et Sav.(C. parciflora Boott var. macroglossa (Fr. et Sav.) Ohwi)はタマツリスゲに形が似るが、植物体に赤紫色を帯びる部分がない。草原や林内、田の畦(あぜ)などに生え、北海道、本州、九州、および朝鮮半島南部に分布する。名は、ジュズスゲに似て小さい意味であるが、ジュズスゲとはあまり近縁でない。

[木下栄一郎 2019年7月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のタマツリスゲの言及

【スゲ(菅)】より

…このスゲは高さ70cmくらい,葉の裏面が粉白色で,日本からヒマラヤまで分布する。乾いた林下には鱗片が濃い紫褐色で美しいヒカゲスゲC.lanceolata Boottや,東京・池上の本門寺にちなむホンモンジスゲC.pisiformis Boott,山地の広葉樹林下には美しいタマツリスゲC.filipes Fr.et Sav.,ミヤマカンスゲC.dolichostachya Hayata ssp.glaberrima T.Koyama等が見られる。 海岸のスゲとしては,カンスゲを一段と大きくしたようなオニヒゲスゲC.wahuensis C.A.Meyer ssp.robusta (Fr.et Sav.) T.Koyamaがハワイから日本,台湾まで分布する。…

※「タマツリスゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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