ダイソン文明(読み)だいそんぶんめい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイソン文明」の意味・わかりやすい解説

ダイソン文明
だいそんぶんめい

未来社会の一つとして、1960年にアメリカの物理学者ダイソンFreeman John Dyson(1923―2020)が提案したもの。文明が現在の状態で進化していくとすれば惑星表面のみで入手できるエネルギーでは不足することになる。したがってその文明社会はエネルギー源を求めて主星太陽系の場合は太陽)の出すエネルギーをすべて利用するために主星を包み込む形か、あるいは主星を中心に円盤状に広がる形で文明圏を建設することになる。つまり文明圏は惑星表面に固着せず、宇宙空間に展開する。なお、ソ連ロシアの天文学者カルダシェフНиколай Семёнович Кардашев/Nikolai Semyonovich Kardashev (1932―2019)は、地球上のエネルギーを利用する程度の文明をⅠ型、太陽エネルギー程度の文明をⅡ型、銀河系全体のエネルギー程度の文明をⅢ型の文明と分類しているが、ダイソン文明は、Ⅱ型文明に相当する。

[横尾広光]

『A・ベリー著、小林司訳『一万年後』上下(1975・光文社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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