日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイダイコショウダイ」の意味・わかりやすい解説
ダイダイコショウダイ
だいだいこしょうだい / 橙胡椒鯛
giant sweetlips
two-striped sweetlips
[学] Plectorhinchus albovittatus
硬骨魚綱スズキ目イサキ科コショウダイ亜科に属する海水魚。西表島(いりおもてじま)、台湾、タイランド湾、ミクロネシアなど太平洋、インド洋に分布する。体は楕円(だえん)形で、側扁(そくへん)する。口は小さいが、口唇は厚く、成長するにつれて著しく肥厚する。下顎(かがく)の腹面に6個の小孔(こあな)があるが、中央に溝はない。背びれに小さな欠刻（切れ込み）があり、13棘(きょく)16～20軟条からなる。側線鱗(そくせんりん)数はやや少なく53～56枚。尾びれの後縁は成魚では湾入形で、幼魚では円形。幼魚や稚魚では体は全体に黄褐色で、2条の幅広い黒色の縦帯がある。第1帯は頭部前端から背びれ軟条部の後端まで、第2帯は頭の前端から尾びれの後端まで走る。成魚では体は灰色～灰褐色。鰓蓋(さいがい)の上端から胸びれ基底前方までの鰓膜(さいまく)の露出部は赤い。下唇と頬(ほお)部は白い。胸びれ、腹びれ、臀(しり)びれは黒褐色、背びれ棘部は黒っぽく、背びれ軟条部の前部と尾びれの両葉は黒色。全長約120センチメートルになる大形種であるが、普通は80センチメートルほど。沿岸の岩礁域やサンゴ礁域に生息する。日中は深いところに隠れている。釣り、追込み網、突きなどで漁獲される。刺身、煮魚、焼き魚などにする。沖縄ではヤナクレーとよぶ。成魚では体に縦帯や斜走帯がないことで他種と区別できる。
［尼岡邦夫 2018年3月19日］
