日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ダンカン(Ronald Duncan)
だんかん
Ronald Duncan
(1914―1982)
イギリスの詩人、劇作家。ケンブリッジ大学卒業後、雑誌『都会人』の編集をしていたが、聖者伝と現代生活の退廃を仮面劇(マスク)と道化狂言(アンチマスク)の技法を使って対照的に描く宗教的詩劇『墓場への道』(1945)で劇作家として登場後、数編の詩劇を中心に翻案物、歌劇の台本などを書き、第二次世界大戦後の詩劇復興の一翼を担った。なお、彼は1939年以後は、南西イングランドのデボンシャーで農業に従事しながら創作活動を続けていた。ほかに長編叙事詩『人間』五部作(1970~74)などの詩集をはじめ、評論、自伝がある。
[中野里皓史]