チェコ同胞団(読み)ちぇこどうほうだん(英語表記)Jednota bratrská チェコ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェコ同胞団」の意味・わかりやすい解説

チェコ同胞団
ちぇこどうほうだん
Jednota bratrská チェコ語

15世紀中葉、ボヘミアフス派のなかの穏健派ウトラキスト派)の分裂から生まれた敬虔(けいけん)な俗人信徒の団体。福音(ふくいん)書を唯一の権威とし、平等と平和を信条とした。国内カトリック教徒と妥協を図ったボヘミア国王により、しばしば迫害を受けた。信徒には農民、職人などの下層階級から、のちには多数の市民、領主も含まれ、15世紀末には独自の教会をもつに至った。17世紀前半に起こった三十年戦争でボヘミアがハプスブルク家に支配されると、多くの信徒が国外に追放されたが、コメンスキーJan Amos Komenský(1592―1670)のように国外で広く教育活動を続け、ヨーロッパ中に大きな影響を与えた者もいた。国内、ことにモラビア地方で同胞団は生き続け、19世紀の民族覚醒(かくせい)運動の精神的基盤となった。

[稲野 強]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android