日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
チチェーリン(Georgiy Vasil'evich Chicherin)
ちちぇーりん
Георгий Васильевич Чичерин/Georgiy Vasil'evich Chicherin
(1872―1936)
ロシア・ソ連の外交官。チチェーリン家は古い貴族の家系で一族に外交官が多い。叔父は著名な法学者B・N・チチェーリン。ペテルブルグ大学卒業後、外務省に勤務したが、退職して革命運動に加わり、1905年にベルリンでロシア社会民主労働党に入った。07年に同党中央在外事務局書記となり、メンシェビキに属したが、第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)後はボリシェビキに移った。17年の十月革命後、抑留されていたイギリスから帰国してトロツキー外務人民委員を補佐し、ドイツとの講和交渉にあたった。18年5月末より外務人民委員。ジェノバ会議、ローザンヌ会議にソビエト全権代表として出席、ドイツとラパロ条約を締結するなど、列強との復交、ソ連の国際的地位の安定に尽力した。30年に病気のため引退して、リトビノフと交替した。
[原 暉之]