チャイルド(Sir Josiah Child)(読み)ちゃいるど(英語表記)Sir Josiah Child

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

チャイルド(Sir Josiah Child)
ちゃいるど
Sir Josiah Child
(1630―1699)

イギリスの貿易商人、重商主義期の経済論者。東インド会社重役として同社の利益擁護に活躍し、貿易と産業の自由を一部主張したが、それは特権的貿易会社の利益を基盤とするもので、いわゆるトーリー・フリー・トレーダーの自由貿易論であった。主著『新交易論』A New Discourse of Trade(1693)で、彼はT・マンと同様、一国の富と偉大さとを外国貿易に求め、一般的貿易差額論を承認するが、貿易差額算定上の困難や、為替(かわせ)相場による測定の不確実さを指摘し、貿易差額にかわる富裕の算定基準を貿易と海運増減に求めるべきだと主張した。さらにこの富裕増大の最大原因を低利子率に求め、最高法定利子率の引下げ論を展開した。

[田中敏弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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