チヤンスー(江蘇)省(読み)チヤンスー(英語表記)Jiangsu

翻訳|Jiangsu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チヤンスー(江蘇)省」の意味・わかりやすい解説

チヤンスー(江蘇)〔省〕
チヤンスー
Jiangsu

略称はスー (蘇) 。中国,華東地方の1級行政区。チャン (長) 江下流の両岸にわたり,ホワン (黄) 海にのぞむ。 11特別市,14市,50県から成る。行政中心地はナンキン (南京) 特別市。清初にナンキンを中心とした江寧府と,スーチョウ (蘇州) を中心とした蘇州府が合して省となり,両府の1字ずつをとって省名とした。民国以後にシャンハイ (上海) を分離。北部と南西部に標高 200~400mの丘陵がある以外は,北半はホワン河とホワイ (淮) 河の沖積平原,南半はチャン江の三角州である。中部から北部は,かつてホワイ河がホワン河の水を受けて氾濫を繰返していた地域であり,ター (大) 運河西岸には氾濫で生じたホンツォー (洪沢) 湖,カオユー (高郵) 湖などが連なる。気候は温暖で,1月の平均気温は0~4℃,8月は 26~28℃。年降水量は 800~1200mmで夏季に集中し,夏から秋にかけて台風が襲来する。 1950年ホワイ河の治水工事が開始され,堤防の建設,河道の整備などが進み,また水路によって,ホワイ河の水を直接ホワン海に排水するとともに,灌漑用水として利用できるようになった。チャン江三角州は中国有数の穀倉であるが,堤防や防潮堤の改修,水路網の整備が行われ,チヤントー (江都) 県の大水利センターをはじめ多くの水門で電力揚水が行われている。主作物はチャン江流域では水稲ワタアブラナ,北部はコムギトウモロコシ,芋類である。タイ (太) 湖を中心とするチヤンナン (江南) 平原で養蚕,北部で養豚が盛ん。淡水漁業,沿岸漁業がともに盛んで,リエンユンカン (連雲港) 市には大型漁港がある。ナンキン市は中国有数の重化学工業都市であるが,チヤンナンのスーチョウ市,ウーシー (無錫) 市などでも,伝統産業の絹織物,綿織物工業が近代化されたほか,鉄鋼,機械,化学などの工場が建設された。北部ではシュイチョウ (徐州) 市,リエンユンカン市に重工業がある。北東部の海岸は塩田が多く,ホワイペイ (淮北) 塩田と総称される。チンフー (津滬) 鉄道,ロンハイ (隴海) 鉄道が通るが,水路網も交通に大きな役割を果す。面積 10万 2200km2。人口 6705万 6519 (1990) 。

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