チュウサギ(読み)ちゅうさぎ(英語表記)intermediate egret

改訂新版 世界大百科事典 「チュウサギ」の意味・わかりやすい解説

チュウサギ (中鷺)
intermediate egret
Egretta intermedia

コウノトリ目サギ科の鳥。日本に生息する3種のシラサギ類の一つ。全長約68cm。ダイサギコサギ中間の大きさで,そのためチュウサギと呼ばれている。ただし,大きさはコサギのほうに近く,この2種は見まちがいやすいが,チュウサギは足指が黒い(コサギは緑黄色)ことで容易に識別できる。また,繁殖期のコサギは後頭に数本の長い冠羽があるが,チュウサギにはない(非繁殖期にはコサギにも冠羽がない)。旧世界の温帯以南に広く分布する。日本には夏鳥として渡来し,コサギやゴイサギといっしょのコロニーで繁殖する。数はコサギよりやや少ない。冬期にはフィリピンマレー諸島に渡るが,少数は南日本でも越冬している。チュウサギの背の飾羽はシラサギ類の中でもいちばんりっぱで,そのためこの鳥は一時乱獲されたが,今日では羽毛採集のため野鳥捕獲することは禁止されている。
シラサギ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チュウサギ」の意味・わかりやすい解説

チュウサギ
Egretta intermedia; intermediate egret

ペリカン目サギ科。全長 56~72cm。シラサギ一種で,ダイサギに似ているがやや小型。全身白色で,夏羽(→羽衣)では胸と背に長い飾り羽がある。眼先は黄色。小魚類やザリガニのほかバッタなどを主食とし,水田湿地獲物をあさる。アフリカサハラ砂漠より南部インドから東アジア中部,東南アジアニューギニア島オーストラリアに分布する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として渡来し,タケ林やマツ林にゴイサギやほかのシラサギ類と集まって集団繁殖する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュウサギ」の意味・わかりやすい解説

チュウサギ
ちゅうさぎ / 中鷺
intermediate egret
[学] Egretta intermedia

鳥綱コウノトリ目サギ科の鳥。日本に普通に生息する3種のシラサギ類の1種。ダイサギとコサギの中間の大きさから、チュウサギの名がある。全長約68センチメートル。旧世界の温帯以南に広く分布する。日本には夏鳥として渡来し、コサギやゴイサギといっしょの集団をつくって繁殖。冬期はフィリピンやマレー諸島に渡るが、南日本で越冬するものもある。近縁種のコサギとは、足指が黒く後頭に冠羽のないこと、ダイサギとは体が著しく小さくみえることで区別される。ただし冬期にはコサギも冠羽がない。チュウサギの背の飾り羽は、シラサギ類のなかでもいちばんりっぱにみえるため、高価で売買されたが、現在は羽毛採集のための捕獲は禁止されている。

[森岡弘之]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「チュウサギ」の意味・わかりやすい解説

チュウサギ

サギ科の鳥。翼長30cm。ダイサギに似るが,より小さく,眼先の裸出した皮膚は黄色。中国,インド,東南アジア,日本,ニューギニア,オーストラリア,アフリカ等で繁殖。日本では本州以南に夏鳥として渡来し,竹やぶや雑木林等で他のサギ類とともに集団繁殖する。水田,湿地等で小魚,ザリガニ等を食べる。準絶滅危惧(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目サギ(鷺)シラサギ(白鷺)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android