ツノカメムシ(読み)つのかめむし

改訂新版 世界大百科事典 「ツノカメムシ」の意味・わかりやすい解説

ツノカメムシ (角亀虫)
acanthosomatid bug

半翅目ツノカメムシ科Acanthosomatidaeの昆虫総称。カメムシ科の1亜科とされることもあるが,肢の跗節(ふせつ)は2節で前胸腹面に頭部に向かう長いとげがあり,中胸腹面には扁平な竜骨突起,腹部第3節腹面に鋭い突起があり,それぞれが先端や後端で重なる。植食性で世界に分布し約180種,日本には約25種が分布する。雄の尾端は紅色ではさみ状に突出したハサミツノカメムシAcanthosoma labiduroides,小楯板(しようじゆんばん)に黄白色のハート形のあるエサキモンキツノカメムシSastragala esakii,小型なヒメツノカメムシElasmucha putoniなどが知られ,後の2属は産卵後,成虫卵塊上に静止して2齢若虫になるまでこれを守る。主としてアリや寄生バチの攻撃をさけるためであるが,アリなどが肢にかみついたり,卵を運び去ろうとすると,翅をはげしく振動させて臭液を出し撃退する習性がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツノカメムシ」の意味・わかりやすい解説

ツノカメムシ
つのかめむし / 角亀虫
角椿象

昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目ツノカメムシ科Acanthosomatidaeに含まれる昆虫の総称。大形ないし中形のカメムシで、カメムシ科に似るが、各脚(あし)の跗節(ふせつ)が2節(カメムシは3節)である点で区別される。前胸背側角が発達し、側方に強く突出することがしばしばある。また、雄生殖節にはさみ状の付属器をもつものがある。日本から約30種が知られ、多くは山地性の樹上生活者で、実や枝などから吸汁する。成虫で越冬。雌は樹木などの葉裏に卵塊を産み、雌が卵上で保護するものが知られる。

[林 正美]


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