ツムギヤスデ(読み)つむぎやすで

改訂新版 世界大百科事典 「ツムギヤスデ」の意味・わかりやすい解説

ツムギヤスデ (績馬陸)

倍脚綱(ヤスデ綱)ツムギヤスデ目Nematophoraに属する節足動物の総称頭部にやや長い触角があり,数十個の個眼の集まった眼が両側にある。胴節は26以上で各背板の横にはこぶ状のひさしが突き出し,そこに3本の大剛毛があるため,外見は毛だらけのような感じがする。尾端に1~3対の紡績腺出糸腺)があるのでこの名がある。ヤスデ類の中では体が柔らかく,歩行はかなり敏速。産卵は紡績腺から分泌した細かな繊維で巣をつくり,その中に卵を数十個まとめて産む。幼虫は脱皮ごとに体節や単眼数が増える増節変態をし,小型な種は1年で成体になる。一般に中型~小型のヤスデで,世界中に分布していて種類も多いが目だたない。日本産はミコシヤスデ,フトケヤスデホラケヤスデなど約25種が知られており,森林の落葉層,腐植土層にすむほか,洞穴に特化した種類もある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツムギヤスデ」の意味・わかりやすい解説

ツムギヤスデ
つむぎやすで / 績馬陸

節足動物門倍脚(ばいきゃく)綱ツムギヤスデ目Nematophoraの陸生動物の総称。体節数は多くの種が30個ぐらいであるが、外国には60個に達するものもある。尾端に1または3対の出糸突起があり、そこから分泌した絹糸を紡いで巣をつくり、その中に産卵するのでこの名がある。日本産の大部分の種は各背板の左右両端の近くに3対の大剛毛をもっているので、毛だらけのヤスデにみえる。十数種があるが、腐葉土の中にすみ、歩行速度の速いミコシヤスデやフトケヤスデのほか、洞穴内にすむ目が退化したものなど著しく変化した種類も知られている。

篠原圭三郎]

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