ティッセン(Fritz Thyssen)(読み)てぃっせん(英語表記)Fritz Thyssen

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ティッセン(Fritz Thyssen)
てぃっせん
Fritz Thyssen
(1873―1951)

ドイツの大資本家。ルールの巨大製鉄・炭鉱コンツェルンを築いたアウグスト・ティッセンAugust Thyssen(1842―1926)の子。ティッセン企業の役職歴任、1926年の合同製鋼会社成立後は監査会会長となった。重工業界有力者のなかでは、政治的に反ワイマール共和国の立場にたつもっとも右寄りの人間として知られ、早くからナチス党、ヒトラー接触、支援していた。30年以後の共和国末期には重工業界内部でナチスの政府参加支持を求める活動を行った。ナチスの権力掌握後、国会議員などの名誉職を与えられたが、39年9月ヒトラーの戦争政策を批判してスイスに逃れ、40年フランスで逮捕され、第二次大戦終結まで強制収容所に拘禁された。戦後は戦争犯罪人に問われ、アルゼンチンに移住した。

[木村靖二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android