テオドレトス(英語表記)Theodōrētos

改訂新版 世界大百科事典 「テオドレトス」の意味・わかりやすい解説

テオドレトス(キュロスの)
Theodōrētos
生没年:393ころ-466

シリアのキュロスKyrrhosの主教,ギリシア人教父。隠修士として研鑽を積むがネストリウスと友人になり,アンティオキア学派一員としてキリスト両性論を主張して異端論争に巻き込まれた。アレクサンドリアキュリロスを批判して,盗賊教会会議(449)では単性論者のために退けられたがのちに復権書簡著書が多く現存し,《教会史》は4~5世紀の貴重な史料で,そのほか禁欲者の伝記キリスト教・異教比較論などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテオドレトスの言及

【三章問題】より

…〈三章Tria Kephalaia〉(英語ではThree Chapters)とは,6世紀の単性論派論争においてネストリウス的異端の疑いをかけられた3人の神学者の人物と著作を指す。すなわちモプスエスティアのテオドロスの人と著作,テオドレトスがアレクサンドリアのキュリロスに反駁した著作,エデッサの主教イバスIbas(在位435‐457)がペルシアの一主教マリスMarisにあてた書簡である。これはユスティニアヌス帝の勅令(543‐544)およびコンスタンティノープルの第5回公会議(553)で異端とされたが,現在では一方的な断罪であったと考えられている。…

※「テオドレトス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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