テトラオキソ臭素(Ⅶ)酸(塩)(読み)テトラオキソシュウソサンエン

化学辞典 第2版 の解説

テトラオキソ臭素(Ⅶ)酸(塩)
テトラオキソシュウソサンエン
tetraoxidobromic(Ⅶ) acid(tetraoxidobromate(1-))

HBrO4(144.91)およびその塩.過臭素酸(塩)であるが,この物質にはIUPAC,学術用語とも,過――酸の使用を認めていない.酸:水溶液のみが知られている.NaOHとNaBrO3とを含む冷却した水溶液を F2酸化するか,NaBrO3水溶液を電解酸化すると,Na塩水溶液が得られ,これを陽イオン交換樹脂カラムを通して酸とする.真空蒸発共沸混合物である80% まで濃縮できる.無色で,強い酸.濃いものは不安定である.酸化力は大きいが,室温では反応速度が小さく I の酸化は遅い.しかし,高温では Mn2+→MnO4も起こる.[CAS 19445-25-1].塩:HBrO4と各金属水酸化物との反応で,アルカリ金属アンモニウムの塩が得られる.前述のように,Na塩はNaBrO3水溶液の酸化でつくられる.KBrO4(183.00)は無色の斜方晶系結晶.正四面体型のBrO4を含むイオン結晶.Br-O約1.61 Å.∠O-Br-O約109~110°.純粋なら融点275~280 ℃.これ以上では分解して O2 を発生してKBrO3になる.ただし,不純なものはずっと低温で分解する.水溶液はほとんど酸化力がない.NH4BrO4は無色の結晶で,過塩素酸塩と異なり,衝撃を与えても爆発しない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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