テータム(Edward Lawrie Tatum)(読み)てーたむ(英語表記)Edward Lawrie Tatum

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

テータム(Edward Lawrie Tatum)
てーたむ
Edward Lawrie Tatum
(1909―1975)

アメリカの微生物遺伝学者。1937年ウィスコンシン大学で博士号を得たのち、ビードルとともに遺伝子の機能の問題を追究する。彼らは、アカパンカビの栄養要求突然変異株では、その栄養物質の合成経路のどこかが阻害されており、これはその部分に働く酵素を支配する遺伝子が存在しないと考えられることから、1945年一遺伝子一酵素説を提唱した。その後レーダーバーグとともに、細菌の栄養要求突然変異株を混合培養すると、栄養欠損のない野生型などが出現することから、染色体の存在や遺伝子の組換え、有性生殖の存在を明らかにし、細菌と高等生物が本質的には同じ遺伝の仕組みをもつことを示した。1958年、ビードルとともに、「遺伝子が特定の化学反応の調節によって作用することの発見」によりノーベル医学生理学賞を授与された。なお、レーダーバーグも「遺伝子組換えと細菌の遺伝物質の構成に関する発見」により同時受賞した。

[石館三枝子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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