ディーステルウェーク

改訂新版 世界大百科事典 「ディーステルウェーク」の意味・わかりやすい解説

ディーステルウェーク
Friedrich Adolf Wilhelm Diesterweg
生没年:1790-1866

ドイツ教育家。ジーゲンに生まれる。大学卒業後,数種の学校での教師生活を経て,1820年より47年までメールスおよびベルリンの新設師範学校長を歴任フレーベルとの親交があった在野の教育家としての活動の時期を経て,晩年は1858年からベルリン選出のプロイセン下院議員として活躍した。19世紀前半のドイツは民衆学校=初等公教育の制度的発展期に当たるが,教員養成者としての立場からその質的向上のために尽力した。統一的な近代国民国家の形成という歴史的課題を意識しつつ,フィヒテからの思想的影響のもとに独自の国民教育論を展開した。最初は汎愛派の教育思想に共鳴していたが,しだいに自覚的なペスタロッチ主義者となり,〈ドイツのペスタロッチ〉とさえ称された。彼の業績は教授学上の領域を中心に,教職論,学校制度論などきわめて広範囲にわたるが,その内容はペスタロッチ思想を発展的に継承した科学的な近代教授学の構築,近代的諸教科の民衆学校への導入,初等教員層の社会的・経済的地位の向上,宗派的な教会支配からの学校教育の解放等々を特徴としている。
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百科事典マイペディア 「ディーステルウェーク」の意味・わかりやすい解説

ディーステルウェーク

ドイツの教育学者。中等学校の教師を経て師範学校長となる。のちベルリン市議会で反動文教政策とたたかい,宗教と教育の分離にも貢献フィヒテに影響を受け,独自の国民教育論を展開した。また,教授学研究を中心に,教職の独立・専門性の問題を理論化。プロイセンのペスタロッチと呼ばれる。

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