デジタル銀行(読み)でじたるぎんこう

知恵蔵の解説

デジタル銀行

顧客向けの窓口となる実店舗を事実上設けることなく、もっぱらデジタル機器と通信回線を利用してほとんどすべての銀行業務を完結する銀行。口座の開設から日常の振替や融資その他の銀行サービスを利用するにあたっては、顧客自身のスマートフォンのアプリやパソコンのブラウザを端末として利用する。このため、スマホ銀行などとも呼ばれる。日本の法律上はデジタル銀行という分類はないが、金融庁が「新たな形態の銀行」と分類するインターネット専業銀行(ネット銀行)などが同様のサービス運用を行っている。
都市銀行や地方銀行などの従来型の銀行では、預金通帳を発行し各地域に開設した支店の窓口で現金などを扱い銀行業務を行うことを主体とする。このような銀行でも残高照会や口座振り込みなどの簡単なサービスの手続きについて、パソコンやスマートフォンなどで行うオンラインバンキング(インターネットバンキング)の利用が進んでいる。これらは、ファームバンキング(企業)、ホームバンキング(家庭)、モバイルバンキング(携帯端末)などと呼ばれる。このようなサービスをデジタルバンキングと称することもあるが、あくまでも従来型の銀行のサービス方法の一部であって、通常はそれらをデジタル銀行とは呼ばない。
金融機関のうち信用金庫、信用組合以外に、企業が銀行を名乗って日本で金融業務を営む場合には金融庁からの銀行免許付与が必要になる。銀行は、その業態の違いから金融庁が所管する都市銀行、信託銀行、「その他」、外国銀行支店および地方財務局が所管する地方銀行、第二地方銀行などに分けられる。このうち、「その他」の業態であるインターネット専業銀行は原則として店舗を持たず、インターネットを通してサービスを行う。また、イオン銀行、セブン銀行など系列の商業施設と連携し主に決済サービスを行う銀行は、当該商業施設内に現金自動預け払い機(ATM)を置いてオンラインサービスを展開するが、それ以外にインターネットを通したサービスも行っている。これらの銀行は有人店舗を持たず、本店業務もその多くをデジタル化している。このため、従来型の銀行よりもはるかに少ない人員で運営され、顧客への対面サービスはほとんど行われないが、普通預金金利を高くしたり振込手数料を安くしたりといったことで多くの顧客を獲得しつつある。
端末操作が苦にならず丁寧な対面サービスを必要としない預金者であれば、多くの日常的な銀行サービスの利用はデジタル銀行だけで事足りる。将来、キャッシュレス決済が盛んになり、キャッシュ(現金)の利用機会が減少すれば、実店舗のみならずATMすらもその必要性が低下すると考えられる。また、店舗網のない地域での銀行サービスの展開や、銀行業務に大きな障壁となる各国の法的な制限なども技術面ではデジタルバンキングに解決の糸口が見いだせる。このような中、キャッシュを軸とした銀行業のあり方に転換の時期が訪れているとして、銀行業界はもとより流通・IT企業など異業種からもデジタル銀行開設の動きが進んできている。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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