世界大百科事典 第2版の解説
デジデリオ・ダ・セッティニャーノ【Desiderio da Settignano】
イタリアの彫刻家。フィレンツェの石工の家に生まれ,1453年に同地の彫刻家組合に登録される。短い活動期間は,おもにフィレンツェのサンタ・クローチェ教会の〈カルロ・マルズッピーニ墓碑〉や,サン・ロレンツォ教会聖器室の祭壇彫刻の制作にあてられた。浅浮彫彫刻に優れ,ドナテロの〈スティアッチャートStiacciato〉技法の影響を受けてはいるが,ドナテロの激しい感情表現や力強いリアリズムとは逆に,光を柔らかく明暗のうちに包む繊細な装飾的効果を特徴とする。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報