デルブリュック(Max Delbrück)(読み)でるぶりゅっく(英語表記)Max Delbrück

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

デルブリュック(Max Delbrück)
でるぶりゅっく
Max Delbrück
(1906―1981)

ドイツ、のちアメリカの物理学者、分子生物学者。1930年ゲッティンゲン大学で博士号を得、ニールス・ボーアのもとで研究するが、ボーアの影響で生物学に興味を抱き、1935年、ティモフェエフ・レソフスキーNikolay Timofeeff-Ressovsky(1900―1981)らとともに遺伝子の物理的モデルを提出する。1937年渡米し、カリフォルニア工科大学でエリスEmory L. Ellis(1906―2003)とファージバクテリオファージ)実験を開始し、一段増殖実験法を確立する。ついでルリアハーシェイとともにファージ・グループをつくり、ファージの検出計数の方法の確立、細菌の自然突然変異の証明、ファージ突然変異と組換えの発見など、分子生物学の基礎を築く研究を行った。また毎年、コールドスプリングハーバーでファージ講習会を開き、物理・化学出身者も含めて研究者の層を広げた。1954年ころよりフィコミセテス(Phycomycetes藻菌)を用いての感覚生理学の研究に転じる。1969年、ハーシェイ、ルリアとともに、「ウイルスの増殖機構と遺伝的構造に関する発見」によりノーベル医学生理学賞を受けた。

[石館三枝子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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