トゥトメス(1世)(読み)とぅとめす(英語表記)Thutmose Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥトメス(1世)」の意味・わかりやすい解説

トゥトメス(1世)
とぅとめす
Thutmose Ⅰ

生没年不詳。古代エジプト第18王朝の3代目の王(在位前1528ころ~前1515ころ)。アメンヘテプ1世の側室の子として生まれ、正統の王子2人が死んだことに伴い、正統の王女と結婚して王となった。外征に力を注ぎ、南はナイル川の第四急流以遠にまで、東はユーフラテス川河畔にまで軍を進め、ヒクソス時代に失われたエジプトの威信を取り戻した。一方、彼は王家の墓制に革命をもたらした。ピラミッド時代以来、王の墓は人目をひく豪壮なものとして築かれてきたが、トゥトメス1世は墓荒らしの歴史を考察した結果、人目を避けた秘められた場所に墓をつくるという道を選んだ。こうして彼はテーベの王家の谷に地下墳墓を築いた最初のエジプト王となった。

[酒井傳六]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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