トカチョフ(読み)とかちょふ(英語表記)Пётр Никитич Ткачёв/Pyotr Nikitich Tkachyov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トカチョフ」の意味・わかりやすい解説

トカチョフ
とかちょふ
Пётр Никитич Ткачёв/Pyotr Nikitich Tkachyov
(1844―1885)

ロシアの革命家。人民主義のジャコバン的傾向を代表するイデオローグ。小貴族の家柄に生まれ、1868年ペテルブルグ大学を卒業。同年から翌年にかけての大学紛争で活躍し、69年逮捕された。禁固流刑ののち、73年国外に脱走。70年代なかばからフランスのブランキ主義者に近づき、その機関紙『神もなく、主人もなく』に協力すると同時に、自らもジュネーブで革命的新聞『警鐘(ナバート)』を発行した(1875~81)。このなかで彼は、ロシアにはプロレタリアートもいないかわりにブルジョアジーも存在しない。したがって少数の職業的革命家が中央集権的組織をつくって革命を指導し、政権を掌握すれば、革命的独裁によって敵を消滅させることができると主張した。このような革命理論から、彼はレーニンの先駆者とか「最初のボリシェビキ」とよばれることがある。

[外川継男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android