日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
トムソン(Sir George Paget Thomson)
とむそん
Sir George Paget Thomson
(1892―1975)
イギリスの物理学者。同じく物理学者のJ・J・トムソンの息子である。ケンブリッジに生まれ、トリニティ・カレッジで学び、父のもとで物理学の研究に入る。第一次世界大戦では、短期間の従軍ののちファルボロで主として航空に関する空気力学の研究に従事した。1922年アバディーン大学教授となり、そこで電子が金属の薄膜によって回折をおこすことを示す実験に成功し、彼とはまったく別に電子の波動性を証明したデビッソンとともに1937年のノーベル物理学賞を受けた。その後、試料に電子線を反射回折させ、物質表面の性質を調べる手法を確立した。1939年に中性子によるウランの核分裂が成功したことを聞くと、ただちにその軍事的利用の可能性に注目した。第二次世界大戦中はふたたび王立航空研究所で軍事研究に従事し、またオタワに駐在してアメリカの原爆製造(マンハッタン計画)に密接に関係した。戦後は重水素の核反応に興味をもち、その理論的研究で水爆の開発にもかかわった。
[川合葉子]
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