翻訳|trim
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
体力づくりのこと。トリムの原義は均整のとれた状態にあることであるが,1967年にノルウェー・スポーツ連盟は,国民の健康と充実した自由時間活動のためにスポーツを奨励する運動〈Trim-aksjon〉を開始した。同連盟のモーHüge Moeの定義によれば〈トリムは活気,楽しさ,幸福感を満たしてくれるものであり,個人あるいは集団で行われるスポーツやレクリエーション活動である〉。この運動は70年代の先進各国のスポーツ参加キャンペーンにつながった。旧西ドイツの〈スポーツでトリムしよう〉を標語にしたトリム運動もその一つである。1969年には第1回トリム・イン・ヨーロッパ会議が開かれ,73年からは日本も加わった国際会議が隔年開催されている。1991年フランスのボルドーで開催された第12回会議で〈国際トリム・フィットネス生涯スポーツ協議会Trim and Fitness International Sports for all Association(略称TAFISA)〉が正式発足した。アメリカではフィットネスphysical fitnessの語がトリムに相当する。日本では1964年の〈国民の健康・体力増強対策について〉の閣議決定にもとづき,翌年〈体力つくり国民会議〉が設置され,体力つくり運動が推進されるようになった。78年には厚生省による〈国民健康づくり計画〉が発足,健康・体力づくり事業財団が設立され,また余暇開発センターにトリム推進本部が新設されて,体力づくり運動が本格化した。
執筆者:青木 高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
スポーツや身体活動を通して、身心を調整し、健康の保持・増進を図る普及運動。トリムの原義は船のバランスを保つというノルウェー語。転じて現代人の心身のバランス回復を意味する。1967年にノルウェーのパウ・モアが提唱し、ノルウェー・スポーツ連盟によって始められた。翌68年には北欧諸国が実施、70年に西ドイツがこの運動に取り組み、以後ヨーロッパ各国をはじめ、世界に広がった。1973年にはフランクフルトで第1回トリム国際会議が開かれた。日常生活のなかにおいて、自発的にスポーツや身体活動を実践し、健康で明るい生活を行う趣旨で、西ドイツでは「スポーツによって、あなた自身をトリムしよう」と呼びかけ、いつでも、どこでも、だれでも、手軽に、自由に行う身体活動を奨励した。一流選手養成に目的を置かず、日常生活のなかで身体活動を積極的に行うことに意義を認めている。
[太田昌秀]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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