ドフィーネ(読み)どふぃーね(英語表記)Dauphiné

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドフィーネ」の意味・わかりやすい解説

ドフィーネ
どふぃーね
Dauphiné

フランス南東部の旧州名。現在のイゼール県ドローム県オートザルプ県からなる。地形的見地から、イゼール川ローヌ川の間にあって丘陵・平野・台地からなるドフィーネ低地(バ・ドフィーネ)と、ローヌ川支流グランド・シャルトリューズ川とデュランス川に挟まれる山岳的なドフィーネ高地(オート・ドフィーネ)に二分される。ドフィーネ低地では農業が発達し、とくにブドウ、オリーブの栽培が盛んである。ドフィーネ高地では移牧酪農が行われる。また豊かな水力発電があり、それを利用した各種工業(電気化学、精錬、機械製造)が発達している。現在の中心都市はグルノーブルであるが、歴史的にはビエンヌであった。ドフィーネはフランス・アルプスの中央部分に位置し、山岳地帯はドフィーネ・アルプスといわれ、登山やスキーなどの観光客でにぎわう。古くからアロブロージュ人、ローマ人、ブルグント人(5世紀)、フランク人(6世紀)の支配下に入り、メロビング朝、カロリング朝の下で分割統治された。1349年フランス国王の手に入ったが、ルイ11世時代までは自治権を保持していた。経済的には18世紀と19世紀に大いに繁栄した。ドフィーネのブルジョア層は1789年と1830年の革命以後、勢力を伸ばした。

[大嶽幸彦]

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