ドライ・フラワー(読み)どらいふらわー(英語表記)dry flower

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドライ・フラワー」の意味・わかりやすい解説

ドライ・フラワー
どらいふらわー
dry flower

自然の草や花、果実などを乾燥させ、観賞用にしたもの。日照時間の短い北ヨーロッパからおこったとされているが、加工条件や生育条件のよいオーストラリアがもっとも盛んで、世界の総生産量の約3分の1を占めている。イタリア、南北アメリカも技術的に進んでおり、全世界に売り出している。ヨーロッパでは18世紀ごろから花輪やドア飾りとして使われていたが観賞用や贈答品として一般的になったのは、1965年以後のことである。生花のような華やかさや美しさはないが、そのかわり水をやる必要もないし枯れることもない、という合理性がとくに若い世代に受け入れられ、日本でも最近は盛んである。もっとも、日本には300年も昔から乾燥花を飾る習慣をもつ所もある。正月になると神棚に不凋花(ふちょうか)を捧(ささ)げるしきたりがある飛騨(ひだ)の高山地方では、松の小枝に千日紅や麦藁(わら)菊などを藁で束ねて飾る。これは加工しない、自然な日本のドライ・フラワーである。

 ドライ・フラワーの作り方は簡単で、採集した草花を束ね、風通しのよい日陰に、根のほうを上に向けて乾かす。夏から初秋にかけての時期がもっともつくりやすいといわれる。また、シリカゲルなど砂状乾燥剤の中に花を埋めて乾かす方法も多く用いられ、バラダリアのような花でも、自然な色と形を残したまま仕上げることができる。

[市川久美子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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