ドロンワーク(英語表記)drawnwork

精選版 日本国語大辞典 「ドロンワーク」の意味・読み・例文・類語

ドロン‐ワーク

〘名〙 (drawn work) 布目の緯(よこいと)または経(たていと)を抜き、残りの糸をいろいろな模様にかがった刺繍テーブルクロスハンカチなどに用いる。抜きかがり刺繍。〔舶来語便覧(1912)〕
北京幽霊(1943)〈飯沢匡〉二幕「夫人の手になるドロンワークやフランス刺繍の布が」

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デジタル大辞泉 「ドロンワーク」の意味・読み・例文・類語

ドロン‐ワーク(drawn work)

麻布などの織り糸を何本か引き抜き、残った織り糸を束ねて透かし模様を作る刺繍ししゅう。テーブルクロス・ハンカチなどに用いる。抜きかがり刺繍。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドロンワーク」の意味・わかりやすい解説

ドロン・ワーク
drawn work

糸抜き細工,透かしかがりのことで,手芸の基本的技法一種。ドロン・スレッド・ワークdrawn thread workの略称。土台布の織糸を,たとえば縦糸を任意の幅に引き抜けばその部分は横糸が残るので,その横糸に別糸でかがりをしてレース状にする技法で,織り糸の抜き方は,布地の縦か横の1方向だけ抜くインサーション式と,縦と横の2方向を抜いて格子状にするメキシコ式,イタリア式,ドイツ式,ノルウェーのハーダンガー・ワークhardanger workなどがある。その他曲線構成の図案の中に,布の織糸とは関係なく別糸を渡し,その糸にかがる方法もある。おもなかがり方は,布端の始末に使うヘムかがり,波かがり,束かがり,くもの巣かがりなどがある。カットワークとともに現在のレース類のもとになったこの技法は,13世紀初めに起こったといわれ,古い作例としては13世紀ドイツの修道院で作られた聖器おおいに見られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドロンワーク」の意味・わかりやすい解説

ドロンワーク
drawnwork

透かし模様をつくる刺繍技法の一種。衣服,ナプキン,テーブルクロス,ハンカチなどに用いられる。以下の2種に大別される。 (1) ドロンスレッドワーク 単にドロンワークとも呼ぶ。地布の織り糸の一部を抜取り,残りの織り糸を別の刺繍糸や地布を解いた糸を用いて,特殊なステッチでかがる。経,緯一方の糸を抜く場合と,両方を抜く場合とがある。 (2) ドロンファブリックワーク 別名パンチワーク punch workともいい,ゆるく織られた布の織り糸の何本ずつかを,特殊なステッチで1ヵ所に引寄せ,(1) と同様の糸でかがる。 (1) に比べて柄は小さいがじょうぶである。

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世界大百科事典(旧版)内のドロンワークの言及

【刺繡】より

…そのバリエーションには白糸刺繡,黒糸刺繡,シャドー刺繡,キャンバス・ワークなどや,糸の代りにリボン,コード,ビーズ,スパングルなどを使う刺繡,布の代りにすきまのあるレース状のものに刺すネット刺繡,チュール刺繡などがある。また広義には,土台布を変化させて効果を出すドロン・ワークカットワークスモッキングキルティングや,布で図柄をあらわすアップリケなども含まれる。 刺繡は多くの種類が世界各地にある。…

※「ドロンワーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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