ナット・ターナーの反乱(読み)なっとたーなーのはんらん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナット・ターナーの反乱」の意味・わかりやすい解説

ナット・ターナーの反乱
なっとたーなーのはんらん

黒人奴隷ナット・ターナーNat Turner(1800―31)の指導する黒人が蜂起(ほうき)した事件。アメリカ合衆国史上もっとも深刻な影響を与えた黒人反乱の一つ。1831年8月21日、バージニア州サウサンプトン郡で60~80人の黒人が蜂起し、55~65人の白人を殺したが、鎮圧され、ターナーは11月11日絞首刑に処せられた。南部の不況による同州黒人人口の増加、奴隷制廃止思想の南部への波及がその遠因となっている。ただし、ターナー自身には北部の思想の直接的影響は認められず、バプティストの在俗説教者であった彼は、聖書に親しみ、自らを奴隷解放の使徒と信じて立ち上がったのである。反乱は、反動的黒人規制の強化と南北対立の激化をもたらし、奴隷制崩壊を早める一因となった。

[小池関夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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