ナパーム弾(読み)ナパームダン

デジタル大辞泉 「ナパーム弾」の意味・読み・例文・類語

ナパーム‐だん【ナパーム弾】

napalm》第二次大戦末期に作られた強力な油脂焼夷しょうい弾。ナフサパーム油とを主原料とし、航空機から落下させて広範囲にわたり焼夷効果を及ぼす。

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精選版 日本国語大辞典 「ナパーム弾」の意味・読み・例文・類語

ナパーム‐だん【ナパーム弾】

〘名〙 (napalm bomb の訳語) 焼夷弾一種。ナフサやパーム油などを主成分とする焼夷剤ナパームを容器に入れて投下する油脂焼夷弾。第二次世界大戦中に開発された。広範囲に強力な破壊力と燃焼力をもつ。
※「佐久間ダム見学記について」について(1955)〈杉浦明平〉「機銃、ナパーム弾等々の大量生産

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改訂新版 世界大百科事典 「ナパーム弾」の意味・わかりやすい解説

ナパーム弾 (ナパームだん)

油脂焼夷弾の一種。ナパームnapalmとはアルミニウムセッケンの一種で,ナフテン酸アルミニウムとヤシ油混合脂肪酸アルミニウムを混合してつくったところから,ナフテン酸naphthenic acidとヤシ油脂肪酸の主成分であるパルミチン酸palmitic acidの語を合成して名付けられたものである。また,ナパームをガソリンなどに加えるとゼリー状になるが,ゼリー状になったものもナパームと呼ぶ。ナパーム弾は,ナフサネート,パーム油,ガソリン,亜鉛などのゼリー状の混合物(ナパーム)を弾体内に充てんした砲弾あるいは爆弾であり,人,家畜,建造物,陣地などを焼き払うために使用される。一般に,400~500l入りの爆弾を爆発させると,2000℃に近い高熱を出し,1発で2000~2500m2を焼き払う力がある。ナパーム弾は,第2次大戦後期,アメリカ軍が開発し,テニアン島において初めて用い,その後の比島作戦や沖縄作戦において航空機から投下して使用し,消えない炎として日本軍を苦しめた。その後,朝鮮戦争インドシナ戦争ベトナム戦争などでも多数使われた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナパーム弾」の意味・わかりやすい解説

ナパーム弾
なぱーむだん

ナパーム焼夷(しょうい)剤(ナフテネート、やし油および白燐(はくりん)からなる粉末を、低オクタン価ガソリンに混合したゼリー状のもの)を用いた油脂焼夷弾。焼夷力が非常に大きい。第二次世界大戦中に開発され、日本の都市への空襲に使われて大きな被害を生じさせた。また第二次大戦以後は、しだいに地上部隊を直接支援する航空攻撃や、地上作戦とは独立した背後地域への航空攻撃に使われるようになった。アメリカは朝鮮戦争とベトナム戦争で、またフランスはインドシナアルジェリアの植民地戦争で、大型のナパーム弾を大量に使用した。

[服部 学]


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百科事典マイペディア 「ナパーム弾」の意味・わかりやすい解説

ナパーム弾【ナパームだん】

焼夷(しょうい)弾の一種。焼夷剤はヤシ油脂肪酸アルミニウム,ナフテン酸アルミニウムとゲル化したガソリン。航空機から投下され目標物に付着して発火,高熱を出す。朝鮮戦争で米軍が使用したのが最初で,ベトナム戦争でも大量に使用された。
→関連項目爆弾

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナパーム弾」の意味・わかりやすい解説

ナパーム弾
ナパームだん
napalm

油脂性の代表的な焼夷弾。金属石鹸,パーム油,ガソリンなどを混合してジェリー状化させたナパームを充填した爆弾で,第2次世界大戦から使用された。日本本土空襲では比較的小型のものが使用されたが,朝鮮戦争,ベトナム戦争では 400kg内外の大型のものが使用され,威力を発揮した。

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