改訂新版 世界大百科事典 「ニコラウス」の意味・わかりやすい解説
ニコラウス(ミュラの)
Nicolaus
3世紀後半小アジアに生まれ,リュキアのミュラMyraの司教となった聖人。生没年および生涯については不詳。11世紀に遺骸がイタリアのバーリに移されたところから,〈バーリのニコラウス〉ともいう。伝説には,貧しくて結婚できない3人の娘のために財布を投げ入れた話,荒れる海を鎮めて船乗りを救った話,誘拐されて桶に漬けられてあった子どもを蘇生させた話などの善行,奇跡が多い。祝日は12月6日で,古くは,その前夜に子どもたちに贈物を届けるとされていた。これがオランダを介してアメリカに伝わり,サンタ・クロースの伝説となった。船乗り,婦人,子ども,ロシアなどの守護聖人。美術作品では,東方では白い髭,西方では冠をつけた司教の姿をとり,伝説にちなんだ三つの財布(あるいは金の球),錨,船,3人の子どもの入った桶などを持物とする。
執筆者:井手 木実
ニコラウス(オートルクールの)
Nicolaus de Ultricuria
生没年:1300ころ-1350
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報