ニューヨーク(州)(読み)にゅーよーく(英語表記)New York

翻訳|New York

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューヨーク(州)」の意味・わかりやすい解説

ニューヨーク(州)
にゅーよーく
New York

アメリカ合衆国、北東部大西洋岸の州。面積14万1292平方キロメートル(うちランドエリアは12万2277平方キロメートル)は合衆国第30位だが、人口1897万6457(2000)は1964年以降カリフォルニア州に次いで第2位である。独立13州の一つ。エンパイアステート(帝国州)と称せられ、人口10万以上(2000)の都市にニューヨーク市、バッファロー市、ロチェスター市、ヨンカーズ市、シラキュース市がある。州都オルバニー。州域は、大西洋に注ぐハドソン川の河口付近で狭く、内陸に入るにしたがって扇状に広がる三角形をなし、全体に内陸型の州である。北西部はセント・ローレンス川、オンタリオ湖、エリー湖を隔ててカナダ国境と接し、南西部は北緯42度線とデラウェア川とでペンシルベニア州と、ハドソン川でニュー・ジャージー州と接し、東はバーモント州マサチューセッツ州コネティカット州とそれぞれ接する。地形的には、アパラチア山脈アディロンダック山地の山岳地形、五大湖岸の平地、ハドソン川とモホーク川沿いの峡谷、ロング・アイランド島と大きく四つに分けられる。ハドソン川河口は沈水性のエスチュアリ(三角江)で、ニューヨーク湾を形成している。地質的には、古いローレンシア台地が基盤で硬く、第三氷期に大陸氷河に覆われたため、氷河湖などが点在する。最高峰はアディロンダック山地中のマーシー山(1630メートル)。気候は、大西洋岸から内陸の五大湖岸まで広がるため多様で、内陸に至るほど厳しい大陸型となるが、総じて日本の東北地方とよく似た気候を呈す。山岳地帯では冬にスキーが楽しめる。

 北東部大西洋岸は近郊農業の中核地帯で、アパラチア高地での酪農、平地での蔬菜(そさい)栽培、ニワトリ、カモ、卵の生産は全米1、2位を争う。ロング・アイランド島でのニワトリ、カモはとくに有名である。五大湖周辺地帯ではリンゴ、ブドウ、モモなど果樹栽培が広く行われている。中西部では岩塩、石材、鉄鉱石、石油、天然ガスなどの地下資源を産し、合衆国初期の工業化に大きな貢献をした。工業化は、エリー運河の開通(1825)によって五大湖からオルバニーまでの運賃が約10分の1に低減されてから急速に進み、ナイアガラ川、セント・ローレンス川の水力発電開発も加わり、ニューヨーク、バッファロー、ロチェスターなどの工業都市が発達した。工業生産額では現在カリフォルニア州に次いで全米第2位にある。大西洋沿岸ではカキ、ハマグリ、タラなどの漁獲がある。

 1524年、フィレンツェの航海家ジョバンニ・ダ・ベラザーノが初めてニューヨーク湾とハドソン川を発見し、その後、イギリス人でオランダの東インド会社に雇われたヘンリー・ハドソンがこの川をさかのぼってオルバニーに至った。彼がこの川をハドソン川と命名し、この地が豊かな土地で毛皮に富み、友好的な先住民(アメリカ・インディアン)がいることを報告した。以後オランダ商人が交易に力を入れ、1614年ごろオルバニーに最初の交易砦(とりで)を築き、1624年に最初の入植者30家族が定住を始め、ニュー・ネザーランドと命名した。1626年、初代総督ピーター・ミヌイトがインディアンからマンハッタン島(現ニューヨーク市)を買収し、ここをニュー・アムステルダムと名づけた。イギリス・オランダ戦争後の1674年にイギリス領となった際にニューヨークと改められ、1776年の合衆国独立宣言とともに州となった。1790年まで州都はニューヨーク市に置かれていた。

 文化・教育では、ニューヨーク州立大学、ニューヨーク市立大学のほか、コロンビア大学、ウェストポイント兵学校、コーネル大学などの著名校があり、ニューヨーク市は芸術・演劇・文化の世界的中心であることはいうまでもない。

[伊藤達雄]


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