ネパール国王暗殺事件(読み)ねぱーるこくおうあんさつじけん

知恵蔵 「ネパール国王暗殺事件」の解説

ネパール国王暗殺事件

2001年6月1日、カトマンズの王宮内で当時のビレンドラ国王とアイシュワリヤ王妃ら王族が銃撃され、10人が殺害された事件。自動小銃を発砲した後、自殺を図ったとされるディペンドラ皇太子が一時的に王位を継承したが、意識不明のまま3日後に死亡した。新国王には、ビレンドラ国王の実弟、ギャネンドラ殿下が就任した。政府の調査委員会の発表によると、ディペンドラ皇太子は国王らがくつろいでいたビリヤード室に乱入して銃を乱射、その後、庭で倒れていたという。皇太子は結婚問題で父親のビレンドラ国王から反対されたことから、酒に酔って逆上して国王らを殺害し、その後で自ら銃で自殺を図ったといわれた。しかし、調査委の報告では動機解明や皇太子の自殺への言及がなく、多くの謎が残ったままになっている。また、自殺したとされる皇太子は右利きなのに左こめかみを銃で撃っていた、との報道もあった。また、後継したギャネンドラ現国王は、1990年、当時のビレンドラ元国王が決めた民主制移行に強く反対した経緯がある。王族一同が集まっていた事件現場にいなかったことなどに不可解な点が残り、王位への執念を執ように燃やし続けてきたことなどから、ギャネンドラ氏陰謀説は今も根強い。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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