ハウプトマン(Herbert Aaron Hauptman)(読み)はうぷとまん(英語表記)Herbert Aaron Hauptman

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハウプトマン(Herbert Aaron Hauptman)
はうぷとまん
Herbert Aaron Hauptman
(1917―2011)

アメリカの生物物理学者。ニューヨークに生まれる。ニューヨーク市立大学、ついでコロンビア大学大学院で数学を学び、1939年修士号を取得した。卒業後、人口調査局で統計官を短期間務め、のち陸軍航空隊で電子関係の指導官を務めた。1947年ワシントンDCの海軍研究所に研究員として所属するかたわら、1955年にメリーランド大学博士号を取得した。1970年バッファロー医学財団(現、ハウプトマン・ウッドワード医学研究所)に移り、研究を続けた。また1970年からはニューヨーク州立大学の生物物理学教授を兼任した。

 ハウプトマンは海軍研究所時代にカールとともに、X線を用いて物質結晶構造を決定するための共同研究を行った。調査試料にX線を照射して、その回折像解析して結晶構造を決定する方法は従来から利用されていたが、解析は非常に面倒で時間がかかるものであった。彼らは、解析法に改良を重ね、数学的手法を駆使し統計学的に処理することにより、短期間で三次元構造を決定できる方法(カール‐ハウプトマンの方法または直接法とよばれる)を開発した。発表当時、その実用性が疑問視されたが、その後コンピュータが解析計算に活用されるようになり、この方法が広く普及するようになった。この業績により、1985年にカールとともにノーベル化学賞を受賞した。

[編集部]

『安岡則武著『これならわかるX線結晶解析』(2000・化学同人)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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