一束(読み)いっそく

精選版 日本国語大辞典 「一束」の意味・読み・例文・類語

いっ‐そく【一束】

〘名〙
① ひとまとめにすること。総括。また、たばねたもの一つ。
※政党評判記(1890)〈利光鶴松〉九「已に信用ありと一束し能はずとせば」 〔詩経‐小雅・祈文〕
② にぎりこぶしの親指を除いた指四本の幅。ひとにぎり分の間隔。矢の長さについていう。
平家(13C前)一一「くつまきより一束ばかりおいて、和田小太郎平義盛とうるしにてぞ書きつけたる」
③ 紙、もめん、竹、薪、稲、柴、縄などの一〇把(ぱ)
大乗院寺社雑事記‐康正三年(1457)三月一八日「杉原一束 扇一本 英音持参了」
※地方凡例録(1794)一「桑だか楮だかあり、何れも十杷を一束とし」
④ (野菜など一〇株を一把(わ)とし、一〇把を一束とするところから) 数の百をいう、荷売商人仲間の隠語。また、釣った魚の数の百をもいう。
※談義本・教訓雑長持(1752)一「一百(イッソク)ばかりに見ゆる関寺、姨捨シテを見る様な御局達も」
⑤ 数の一をいう、馬方、かごかき仲間などの隠語。
浄瑠璃・躾方武士鑑(1772)七「せめて一束かと思うたら、漸(やうやう)五百(げんこ)はせくちけれど」

ひと‐つかね【一束】

※羅葡日辞書(1595)「Merges〈略〉ムギノ fitotçucane(ヒトツカネ)

ひと‐たば【一束】

〘名〙 ひとつにたばねたもの。いっそく。ひとつかね。〔観智院本名義抄(1241)〕
於母影(1889)〈森鴎外ら訳〉あるとき「にほひよき花の一束をば」

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デジタル大辞泉 「一束」の意味・読み・例文・類語

いっ‐そく【一束】

ひとまとめにすること。また、たばねたもの一つ。ひとたば。→
握りこぶしの親指を除いた指4本の幅。矢の長さの単位として用いる。
竹・薪・稲や紙の連などの10
《野菜など10を1とし、10把を一束するところから》数の百をいう語。「ハゼ一束半の釣果
無銭ただなら―でももろておくわい」〈滑・浮世風呂・四〉

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普及版 字通 「一束」の読み・字形・画数・意味

【一束】いつそく

ひとたばね。宋・陸游〔幽居雑題〕詩 久閑、棋格長じ 多なり を漬す三升の酒 頭をふる一束の書

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