ハマジンチョウ(読み)はまじんちょう

改訂新版 世界大百科事典 「ハマジンチョウ」の意味・わかりやすい解説

ハマジンチョウ (浜沈丁)
Myoporum bontioides A.Gray

暖地の海岸湿地に生えるハマジンチョウ科低木または小高木。葉は互生し,単葉,多肉質で,倒披針形または長楕円形,長さ6~12cm,先端は細長くとがり,基部は狭長,ふちは全縁または先端に少数の浅い鋸歯があり,両面とも無毛,側脈は3~4対。初夏,葉腋(ようえき)に1~3個の花をつけ,花冠漏斗状,長さ2.5~3cm,直径2cmぐらい,淡紅紫色,裂片は5枚で長楕円形をなし,内部に紫の斑点がある。花梗は細く長さ1.5~2cmで,上方はやや太くなる。果実は核果,液質で球形,先端はとがり,4~8室。日本(九州南部~琉球),台湾,中国南部,インドシナに分布する。まれに観賞用に栽植される。

 ハマジンチョウ科は5属90種からなり,オーストラリアを中心にポリネシアから東南アジアにかけてと,アフリカ南部に分布する。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマジンチョウ」の意味・わかりやすい解説

ハマジンチョウ
はまじんちょう / 浜沈丁
[学] Myoporum bontioides (Sieb. et Zucc.) A. Gray

ハマジンチョウ科の常緑低木。高さ1~2メートルになる。葉は互生し、倒披針(とうひしん)形または長楕円(ちょうだえん)形で長さ6~12センチメートル、質はやや厚い。花期は1~4月。花はやや漏斗(ろうと)形で、1~3個腋生(えきせい)し、花冠は5裂して長さ2~3センチメートル、先は反り返り、花筒は淡紅紫色。果実は球形で径約1センチメートル、先は鋭くとがり、海流で散布される。海岸湿地に生え、三重県、九州、沖縄、および中国大陸南部、台湾、インドシナ半島に分布する。

[島袋敬一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android