ハミルトン(Sir William Hamilton)(読み)はみるとん(英語表記)Sir William Hamilton

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハミルトン(Sir William Hamilton)
はみるとん
Sir William Hamilton
(1788―1856)

イギリスの哲学者、論理学者。エジンバラオックスフォード大学に学ぶ。エジンバラ大学教授。スコットランド学派に属すが、カントの強い影響を受ける。トーマスリードと同じく、知覚において対象は直接に知られると説く。しかしその認識は、対象の表象ないし現象を通してなされるものであり、媒介物や感覚器官による変容を受けるとして、相対主義的傾向を示した。そこからカントの二律背反に近い議論も展開する。論理学では賓辞(ひんじ)(命題主辞について述べられることば)の量化を試み、これを論理学への大きな貢献と考えた。著書に『哲学・文学論集』(1852)、『形而上(けいじじょう)学・論理学講義』(1859~1860)など。リードやスチュアートDugald Stewart(1753―1828)の編者としても知られている。

[小池英光 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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