パラレッド(英語表記)para red

改訂新版 世界大百科事典 「パラレッド」の意味・わかりやすい解説

パラレッド
para red



1880年に発明された有機顔料ないしアゾイック染料。現在も赤色有機顔料として使用されているが歴史的意義が大きい。p-ニトロアニリンジアゾ化しβ-ナフトールカップリングさせて得られる。アゾイック染料として染めるときは,まずセルロース繊維にβ-ナフトールのアルカリ水溶液をしみこませる。ついでジアゾニウム塩の水溶液に浸し繊維上でカップリングさせ,不溶性色素を固着させる。この発明により,そのころ高価な茜(あかね)によるトルコ赤が著しく駆逐されたことは有名で,ナフトール染料の開発に連なった。有機顔料としては色調暗赤色で,耐光・耐薬品性はやや良好だが,耐溶媒性,耐油性に乏しい。印刷インキ,塗料などに使用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラレッド」の意味・わかりやすい解説

パラレッド
ぱられっど
para red

木綿を染色するために、1880年に開発された手法。2-ナフトールのアルカリ溶液を木綿にしみ込ませたのち、ジアゾ化したp(パラ)-ニトロアニリンとカップリングさせれば、繊維上で赤色の不溶性アゾ色素が生成する。この手法は、2-ナフトールが木綿に直接性をもたない欠点があるため、現在では用いられていない。このかわりに、木綿に直接性をもつ2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸アニリド(ナフトールAS類)が発明された。

[飛田満彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラレッド」の意味・わかりやすい解説

パラレッド
para red

パラニトロアニリンレッドという場合もある。アゾ色素の一つで,赤色から青赤色の有機顔料。パラニトロアニリンをジアゾ化し,β-ナフトールとカップリングさせることによって合成する。着色性がよく濃色で,耐光性が高く,耐熱性も良好である。油性塗料に用いられる。

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